Aono's Quill Pen

青野の鑑賞記録

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『おんな城主直虎』33話~政次の死にみる「イエス受難」のアナロジー~

はじめに~政次の死とイエスの死のパラレル構造~ 33話のラストで磔の刑に処される政次を見て、イエス・キリストの十字架の上での死に重ね合わせた方は多かったのではないでしょうか。私も政次の死には「イエスの受難」物語からの引用が多数散りばめられて…

『おんな城主直虎』33話~直虎と政次、非言語コミュニケーションの果て~

衝撃のラストを向かえた33話、しかし二人の物語はまだ終わりではありません。政治以外の話の9割を本音と裏腹の言葉でしかコミュニケーションしかしてこなかった二人、あの「ハートに一突き」というアクションですべての言語を超えて一気に魂が結ばれてし…

『おんな城主直虎』32話 ③駿河・遠州侵攻を描く省略とディテールの美学

『直虎』のテーマと、直虎が描く未来 「政虎なつ」の衝撃が大きすぎて、その他のことがすべてふっとんでしまった感のある32話でしたが、実は大河ドラマらしく大文字の歴史がようやく動き出した回でもありました。いや、その書き方には語弊があります。これ…

『直虎』の成立過程から<なつ事件>の真相に迫る

前回までのエントリでは<なつ事件>について、ドラマの筋に沿って人物の心情の変化の読み解こうとしました。 今回は脚本や製作の過程が伺える幾つかの資料をもとに、なぜこのようなことが起こったかを推理してみたいと思います。 私はノベは2巻まで、公式…

『おんな城主直虎』32話「復活の火」②風穴を塞ぎにいく男、政次と直虎

政次となつのシーンに先立つ直虎との邂逅。これはもう色々な解釈が成り立つ味わいの深いものでした。以下はその一つに過ぎません。 直虎が政次に城主の座を譲ると言ったとき、政次はとても素直に、直虎の方にトップとしての資質があると返しました。政次にコ…

『おんな城主直虎』32話「復活の火」①愛することは赦すこと、政次となつ

さて、そもそもこのテーマについて書くために始めたブログ、自分の中ではやや苦手分野ではありますが、登場人物の関係や心理を中心に思うことを書いてみたいと思います。 32話、初見では鋭い衝撃、再見ではボディーブローのような鈍い痛み、しばらく言葉を…

私の考察の基本姿勢

まず私が物語(ドラマもあえて物語とします)を考察するときの基本的な視点を書きます。登場人物の物語内での関係性や行動の意図にはもちろん関心があります。そこに感動があってこそ、はじめて感想を書きたいという意欲が湧いてくるからです。しかしそれと…

ブログ開設の経緯

『おんな城主直虎』の感想をtwitterでつぶやいていて、その手軽さを気に入ってはいたのですが、分割ツイが増えてしまったこと、一つのパラグラフを140字以内に収める作業が時に苦痛だったこと、なにより自分の思考が140字で途切れることに忸怩たる思い…